私は、東村山・所沢地区を拠点に東京都・埼玉県・長野県を中心に活動する中小企業診断士・事業承継士の羽田巧(はた たくみ)です。
今回は、親族内事業承継を成功に導くための7つのテーマの4つ目の「業務を再構築する」です。
ここでのポイントは、後継者と一緒に今まで築き上げた会社の文化、組織、ノウハウを活かし、これからの事業の方向性を見極めることにあります。

後継者に社史を伝える

現在の会社が成り立っている理由を後継者に伝え、今後の事業運営で会社が守っていくべきものを後継者に理解してもらいます。
例えば、創業した時の経営者の思い、経緯、大切にしてきたことを伝えたり、これまでの事業計画や売上高の変遷、トラブル発生時の対応について、会社にどんなことがあって今に至るかを伝えていきます。

後継者に企業理念・ビジョンの意義を引き継ぐ

会社の軸となる経営理念・ビジョンの意味を後継者に伝え後継者が説明できるようにする。
ここで現在の経営理念が、現在の経営幹部や従業員が理解し、それに基づいた業務を行っているかを確認するのもポイントです。
経営者や経緯幹部だけでなく、業務に携わる末端の従業員の一人ひとりに経営理念が浸透していれば経営理念に基づいた意思決定が行われ、会社全体が同じ方向に向かっていることになります。
経営理念が従業員に浸透し、理解された行動を行っていると会社の一体感を強めるとともに、目的を達成するための求心力となり、事業運営を行う上で非常に大切になってくるのです。

会社の現状を分析し、会社全体を俯瞰する

会社の現状を見つめ直し、客観的に自社の状況を把握します。
●財務情報状況
●商品群ごとの売上の変化
●来店客の変化(総顧客数、年齢・性別)
●顧客の購入動向(どの顧客層が何を買っているのか)
●費用構造の変化
●業績に影響を与えている要因は(良い面、悪い面)
●自社の資源について

業界動向や同業他社の状況を見極める

自分の会社が業界内で、どんなポジションであるのかを明確にしておく必要があります。
●今後も市場が拡大していく見込みはあるか。
●拡大しないにしても、安定して継続していける見込みあるか。
●川上・川下・エンドユーザーの動向はどうなっていくと考えられるのか。

5年後、10年先の会社の方向性を決める

「顧客」「取引先」「仕入先」「従業員」「経営者」の5つの視点から、5年後・10年後にどのような関係になっていきたいのか、どのように見られたいのか。それらをまとめて「定性的」に数値目標を「定量的」に考えて、今後の会社の方向性について、現経営者、後継者、従業員が共通認識のもとで、事業運営を行っていくようにします。