経営承継円滑化法は、今までも改定が繰り返えされて使いやすくなってきました。
今までの変更点としては
1.確認申請が不要に
2.届け出先が都道府県へ
3.雇用の80%維持緩和
4.後継者が他人でも可能
5.清算課税制度との併用可能
6.利子税がさがる
など、がありました。
そして、平成30年度には、更に次のように変更が予定されています。
平成30年度 事業承継税制改正のポイント
以下、『東京商工会議所「平成30年度税制改正のポイント」(チラシ)』より抜粋して加筆
将来の納税不安を大幅に軽減する事業承継税制の抜本拡充が実現!
●今回の改正措置は、世代交代に向けた集中取組み期間として10年間の時限措置【2018年1月~2027年12月まで】となります
●税制の適用を受けるには、今後5年以内に承継計画(仮称)を都道府県に提出、10年以内に承継を行う必要があります
1.事業承継時の納税負担がゼロに! -対象株式数等の上限撤廃-
- 現行
- 実際の猶予割合は53%(対象株式数上限2/3×猶予割合80%)。残りの47%は納税が必要
- 改正
- 対象株式数2/3上限の撤廃、相続時の猶予割合80%→ 100%引き上げにより、自社株承継時の納税負担がゼロに
現行で、全ての株式について適用が受けられるわけではありませんでしたが、改正後は、100%の株式について適用を受けることが可能になります。
【注意】納税が猶予される制度で、贈与税・相続税がゼロになるわけではありません。
2.納税猶予打切りリスクを最小化! -雇用維持要件の実質撤廃-
- 現行
- 5年平均で80%維持(雇用維持できない場合 は、利子税付きで全額納付)
- 改正
- 雇用維持要件は実質撤廃(雇用5年平均80%を下回る 場合でも猶予税額は納付不要)
承継後5年間で雇用者数が平均80%を下回る場合
●都道府県へ、承継後5年間で雇用者数が平均80%を下回った理由報告が必要
●経営悪化が理由の場合は、認定支援機関による指導・助言が必要
現行は、5年間の雇用平均が8割未達の場合、猶予された相続税・贈与税の額を全額納付しなければなりませんでしたが、改正後は、5年間の雇用平均が8割未達でも猶予は継続されることになります。
3.将来の納税不安を大幅軽減! -経営環境変化に応じた減免制度の創設-
- 現行
- 納税免除は後継者死亡、破産の場合等限定的
- 改正
- 株式売却、廃業時点の株価で 税額を再計算し、承継時との 差額を免除
差額免除措置の適用対象
●株式売却:全ての企業(経営を継続しない理由提示のみ)
●廃業:経営環境変化の影響を受けた企業(経営指標による判定あり)
現行は、納税猶予が取消になった場合には、事業承継時点の株式評価額のまま、相続税・贈与税の納税が必要でしたが、改正後は、事業承継時点の株式評価額と差額(損失)が発生している場合には、納税猶予の取消事由(売却・廃業)が発生した時点での株式評価額を基に納税額を再計算して、納税猶予した額よりも実際の納税額を圧縮出来るようになります。
4.多様な事業承継を促進! -複数承継の対象化-
- 現行
- 先代1人から後継者1人への株式承継に限定
- 改正
- 配偶者や従業員からの贈与・相続や、後継者が複数(3 人まで)での承継も対象化
- ※後継者要件:代表者、株式10%以上保有等
現行は、一人の先代経営者から一人の後継者への相続・贈与のみが対象でしたが、改正後は、複数の株主から代表者である後継者(最大3人)への承継への適用が可能になります。
最後に
私は、東村山・所沢地区を拠点に東京都・埼玉県・長野県を中心に活動する中小企業診断士・事業承継士の羽田巧(はた たくみ)です。
事業承継のことは、事業承継の専門家である「事業承継士」に相談してください。
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