私は、東村山・所沢地区を拠点に東京都・埼玉県・長野県を中心に活動する中小企業診断士・事業承継士の羽田巧(はた たくみ)です。
今回は、親族内事業承継を成功に導くための7つのテーマの1つ目の「後継者育成する」です。

事業承継の最大の目的は、事業を継続させることです。
そのためには、後継者は欠かせません。
そこで、後継者育成に関することについて従業なポイントを、まとめてみました。

後継者選択で重要視することは

 兄弟が複数人がいて、誰が後継者として相応しいか迷っている。
後継者として、育てるのにどういった視点が必要なのかということで、経営者に求められる資質は次のとおりです。

①カリスマ性

組織の中でリーダーシップを発揮して、組織の求心力となるような言動と行動が求められます。

②マネジメント能力

経営者は、一人では何もできません。
組織のリーダーとして、組織が力を発揮するためにも、組織のメンバーの一人ひとりが活性化するためにもマネジメントすることが求められます。

③リスクマネジメント能力

企業を取り巻く環境には、様々なリスクが潜んでいます。
経営者は、従業員だけでなく従業員の家族も養っていく責任があるのです。
企業運営は、現在は順調な状態であっても、永遠に続くとは限りません。
何らかの外部的な要因によって、急激に悪い方向に向かって行ってしまうことがあります。
経営者としては、将来、起こりうる事象を事前に察知して、対処する能力が求められます。

⑤信用力

一番最後ですが、経営者に求められる資質の中で最も重要なのが信用力です。
会社を長続きしていくためには、その会社と経営者が信頼されているかに関わってくるからです。
会社に万が一の時が起こったときに家族、従業員、取引先、金融機関が助けてくれるだけの存在でなければならないのです。

後継者に承継の意思を伝える

 今の時代は、子どもが黙って親の事業を継いでくれる時代ではありません。
子どもには、子どもの人生があります。
子どもに事業を継いでいってもらいたいのであれば、道筋を立てて経営者が子どもに、意思を伝える必要があります。
 これが、親から子への事業承継の第一歩と言っても言い過ぎではありません。
事業に対する思い、会社の将来性、なぜ子どもに後継者として継いでもらいたいのかを、心を割って『対話』することで、子どもも後継者として意欲が沸いてくるものです。
子どもが後継者として事業を引き継ぐうえでの「不安定な気持ち」とも向き合っていくことも大切です。

家族会議で親族関係者に告知する

 後継者に事業を引き渡すうえで重要な観点の一つが「経営に専念できる環境をつくる」ということです。
そのためには、後継者以外の兄弟などの相続人に対して家族会議を開いて、事業承継のスケジュールを説明したり、個人や会社の財産がどのような状態になっていて、どのように遺産分割をしていくのか、後継者が背負う苦労と一緒に説明をしていく必要があります。
 事業の業績が良いのにも関わらず、身内の争族が勃発して、身内の争いにより事業承継が失敗しないようにしなければなりません。

後継者の右腕となる幹部も育てる

 後継者には、経営者として足りない部分を補ってくれたり、良き相談相手となり後継者と伴に会社の未来を一緒に歩む後継者と同世代の幹部の存在が必要です。
現時点で会社の中にいなければ、後継者が自ら、これからの会社を創る人財を採用することも検討することをお勧めします。

後継者を育てる

 後継者の性格にもよりますが、後継者教育でやるべきこととして「新しい取り組みにチャレンジ」させることです。
後継者は、事業が成り立っている状態で会社に入ってきているケースが多いので、お金を稼げることのありがたみが薄かったりします。
 ゼロベースから新しい取り組みにチャレンジすることで、お金を稼げることの難しさを知り、既存の幹部や従業員が今まで会社を築きあげてきてくれた感謝の心が芽生えるからです。
 また、現経営者が引退する前であれば、大怪我をする前に的確なフォローをすることもできます。現経営者が引退した後からでは、従業員の目もあるので直接、指導がしにくくなるものです。