現社長から後継社長へバトンタッチする場合に、組織や業務のやり方について変革が求められる場合があります。

それは、①現経営者が強いリーダーシップを発揮して、トップダウンで意思決定を行い、組織のメンバーを動かして業務を廻している場合や
②従業員の業務が専門化し、個々の従業員に仕事が依存している場合です。
この様な状態で、社長を交代すると、後継者は、経営者としての力を発揮することができずに業績が低迷してしまう恐れがあります。
これは、後継社長の責任ではなく、現社長の責任なのです。
後継者に社長の座を譲る前に、後継社長が力を発揮しやすい環境へと組織を変えていく必要があります。

 たとえば、個々の従業員が持っている情報を「見える化」して、情報を共有化して経営陣に情報が集まるようにして、指揮命令を発揮しやすようにします。
そのために、ITを導入して情報を見えるようにします。
営業パーソンの行動予定をITソフトに入力し、どこの取引先に対して、どんな用件で訪問するのかを把握し、
行動実績を入力し、予定との差異や案件の進捗状況を確認していくようにします。
こうすることで、個々の従業員ごとに集まっていた情報が、取引先ごとに管理されるようになり、従業員に業務を依存するのを防ぎ組織の力をあげていくことができるのです。
従業員も、行動予定や行動実績を入力して、進捗状況を上司に報告してチェックを受けることで、自然とPDCAサイクルが回る習慣となり、能力アップにもつながるのです。

 現社長の場合、経営者として長い時間をかけて事業運営を行ってきたのでカリスマ性があります。
しかし、後継社長の場合、経営者としては未熟なところもあります。
一人のリーダーシップから経営者が組織のメンバーの能力を引き出しながら事業運営を行っていく組織へと変革していく必要があるのです。