事業を始めるときや、運転資金が必要なとき、銀行などの金融機関から「融資」を受けることがあります。しかし、「銀行からお金を借りたいけれど、信用が足りないと言われた」「担保がないので融資を断られた」という不安や悩みを持つ方も少なくありません。そんなとき、強い味方になってくれるのが「信用保証協会」です。
この記事では、信用保証協会の役割や仕組みを、具体例を交えながら分かりやすく説明します。初めて融資を受けようとしている中小事業者の方に、ぜひ知っておいていただきたい情報です。
1. 信用保証協会とは?
信用保証協会とは、中小企業や個人事業主が金融機関から融資を受ける際に「保証人」の役割を果たしてくれる公的機関です。言い換えれば、信用保証協会があなたの代わりに「信用」を補ってくれる仕組みです。
例えば、銀行からお金を借りるとき、「事業の実績が少ない」「担保がない」といった理由で融資が難しい場合があります。そんなとき、信用保証協会が保証を引き受けることで、金融機関は安心して融資を実行してくれるのです。
2. 信用保証協会の仕組み
信用保証協会を利用する場合、以下のような流れになります。
1.金融機関に融資を申し込む
最初に、あなたが取引を考えている銀行や信用金庫などに融資の相談をします。
2.信用保証協会が保証審査を行う
金融機関が信用保証協会に保証を依頼します。信用保証協会は、あなたの事業内容や返済能力を審査します。
3.保証が承認されれば融資実行
信用保証協会が保証を引き受けることで、金融機関から融資を受けることができます。
4.保証料を支払う
信用保証協会を利用する場合、所定の「保証料」を支払う必要があります。これは、保証協会に対する手数料のようなものです。
5.返済
金融機関から借りたお金は、通常通り返済していきます。
3. 信用保証協会を利用するメリット
(1) 融資を受けやすくなる
事業の実績が少ない場合や、担保を持たない場合でも、信用保証協会を利用することで融資を受けられる可能性が高まります。特に創業間もない事業者にとっては、非常に心強い制度です。
例えば、飲食店を開業したばかりのAさん。事業開始からまだ半年で、銀行から「実績が少ないため、単独では融資が難しい」と言われてしまいました。そこで信用保証協会を利用し、保証をつけることで融資を受けられることに成功しました。この融資で、新しい調理機材を購入し、売上をさらに伸ばすことができました。
(2) 担保がなくても安心
多くの中小事業者は、不動産などの担保を持っていない場合があります。信用保証協会が保証人になってくれるため、担保がなくても融資を受けられる可能性があります。
製造業を営むBさんは、新しい機械を購入するために融資が必要でした。しかし、土地や建物などの担保がないため、銀行に断られました。信用保証協会を利用することで、無担保での融資が可能になり、機械導入による生産効率の向上を実現しました。
(3) 公的な機関だから安心
信用保証協会は、公的な機関です。そのため、中小事業者が安心して利用できる信頼性の高い制度です。
4. 信用保証協会を利用する際の注意点
(1) 保証料が必要
(1) 保証料が必要
信用保証協会を利用する場合、保証料が発生します。この保証料は、借入金額や保証期間によって異なります。たとえば、借入額が1,000万円で保証料率が1.0%の場合、保証料は10万円程度となります。これをコストとして考慮する必要があります。
(2) 返済義務は変わらない
信用保証協会が保証を引き受けてくれるとはいえ、借りたお金を返済する義務はあなたにあります。返済計画をしっかり立てたうえで融資を受けることが大切です。
(3) 審査には時間がかかることがある
信用保証協会の審査には一定の時間がかかる場合があります。急な資金ニーズがある場合は、早めに手続きを進めることをお勧めします。
5. 信用保証協会の具体的な活用事例
事例1: 創業資金の調達
事例1: 創業資金の調達
美容室を開業予定のCさんは、店舗改装費用の調達に悩んでいました。自己資金だけでは足りず、銀行に融資を申し込みましたが、「開業前のため実績がない」と断られました。信用保証協会を利用し、創業融資制度を活用することで、無事に資金を調達。おしゃれな内装の店舗を完成させ、地域のお客様から大好評を得ています。
事例2: 資金繰りの改善
飲食店を経営するDさんは、新型コロナウイルスの影響で売上が減少し、運転資金が不足していました。信用保証協会のセーフティネット保証制度を活用することで、低金利の融資を受け、資金繰りを改善。現在は、テイクアウト事業を拡大して新たな収益源を確保しています。
6. 信用保証協会を利用するためのステップ
1.金融機関に相談
最寄りの銀行や信用金庫で、信用保証協会を利用した融資について相談します。
2.必要書類を準備
事業計画書や過去の決算書、資金使途を明確にした書類を準備します。
3.申請手続き
金融機関が信用保証協会に保証を依頼します。必要に応じて信用保証協会が直接面談を行うこともあります。
4.審査結果の通知
信用保証協会が保証を承認すれば、金融機関から融資が実行されます。
信用保証協会は、初めて融資を受ける中小事業者にとって、強力な支援を提供する存在です。事業実績が少ない、担保がない、といったハードルを乗り越えるために、ぜひ活用してみてください。
融資を受ける際には、自分の事業計画をしっかり作り、返済計画を立てたうえで進めることが大切です。信用保証協会を上手に利用することで、あなたの事業がさらに成長することを願っています。