事業承継を従業員に伝える時期を誤ると、事業承継が上手くいかなくなることもあります。
個々の会社の抱える状況によって異なりますが、一般論として事業承継で従業員に伝える時期としては、後継者が決定し、後継者のもとでの事業方針が決定した頃が良いとお伝えしています。理由は、従業員に余計な不安感を与えないためです。従業員にとって、経営者が変わるということは、大きな環境の変化となり、今後の会社に対して不安感を募らせて結果的に業績に悪影響を与えてしまう可能性があるからです。なので、後継者が決定したことを従業員に伝えるのと同時に、後継者より今後の経営方針を発表して、従業員が安心して働ける環境を作ることが大切なのです。
特に、M&Aによる事業承継を検討している場合は、従業員に慎重に判断をしなければなりません。従業員にとっては、M&Aのイメージが悪く捉えるケースがあり、退職に繋がることがあります。買収する企業にとっては、買い取る企業のビジネスモデルだけでなく、そこで働く従業員とセットになっていることで価値があると考えているケースが多く、従業員の退職が企業価値の低下になり、M&Aが不成立になりかねません。そもそも、M&Aは秘密保持契約により、従業員にも伝えてはいけないのです。
事業承継を従業員に伝える時期は、慎重に判断しましょう。