事業承継で、事業運営を次の世代にスムーズに引き継げない会社の特徴として、経営者や従業員など、特定の人間が情報を握りしめている場合があります。

情報を特定の個人に依存させておくと、その人の存在価値を高まり、社内で力を発揮することができるので、情報をオープンにすることは避けたいという意識が働きます。

今までは、カリスマ的な経営者のもとで、個人に情報が依存していたとしても阿吽の呼吸でなりたっていたかもしれません。しかし、事業承継で、経営者が交代した場合は、それで上手くいくでしょうか。個人に情報が依存していると統制が効かずに後継者が力を発揮できない状態に陥ってしまいます。

事業承継で失敗しないためにも、事業承継を行う前に、情報を「個人」ではなく「組織」に紐付ける仕組みにしておく必要があります。

手段として、ITによる情報を共有化していくことが有効的です。
例えば、お客様との取引の経緯や商談の進捗状況など営業活動の内容をITツールに登録しておきます。
情報を共有化することで、お客様からクレームが発生したときに、そのお客様の担当でない従業員がすぐに現場に駆けつけて対応することが可能となり、「個人」から「組織」へと組織レベルが高まっていきます。

人と情報を切り離すことによって、トラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。

情報共有とは、現時の経営者と従業員や従業員同士のためだけにあるのではありません。将来の経営者や従業員の経営判断や現場での判断の材料になる貴重な財産となるのです。小さな情報でも蓄積していくことで、組織力を高め企業価値が上がっていきます。

事業承継を見据えて、情報の「見える化」「共有化」を進めてはいかがでしょうか。