私は、東村山・所沢地区を拠点に東京都・埼玉県・長野県を中心に活動する中小企業診断士・事業承継士の羽田巧(はた たくみ)です。

「長年に渡って大切にしてきた会社を子どもに、引き継いでいって欲しい」
と考える現経営者の方や
「親が経営してきた会社を何とか残していきたい」
と考える後継者の方が
多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、今回は、その序章として「失敗事例から学ぶ事業承継」と「事業承継で目指すべき姿」ということで掲載させていただきました。

失敗事例から学ぶ事業承継

 事業承継で成功するには、他社の事例から同じ失敗をしないことが重要です。
そこで、事業承継の失敗パターンを挙げて見ました。

事業承継は、社長の肩書と株式を後継者に渡すだけだと思っている。

 準備不足や知識不足のままに、後継者にバトンタッチをしてしまうパターンです。後継者候補がいるのだろから、いずれ時期がきて自分(現経営者)が引退したときに、後継者に社長の肩書と会社の株式を渡すだけで済むのだろとしか思っていないのです。それで上手く乗り切れることもあるかもしれませんが、準備不足により取引先や金融機関との関係が上手くいかなくなってしまったり、後継者に多額の税金を用意しなければならなくなってしまったり、事業を上手くまわせなかったり、となってしまうことがあります。

現経営者と後継者、関係者の対話が不足している。

 親子だからこそあり得る話しなのですが、面と向かって会社をすることなく、阿吽の呼吸で成り立っているケースです。子どもが3人いて家業を3人ともが継いでいる。この場合、誰が後継者になるのでしょうか? なんとなく、しきたりで長男が会社を引継ぐのでしょうか? 長男は自分が継ぐもと思っているかもしれません。しかし、親(現経営者)は経営者に相応しいのは次男であり、次男を後継者にしようと考えているかもしれません。この状態で、親(現経営者)が次男に後継者として指名し、引退してしまったらどうなるでしょうか。後々、兄弟関係のもつれから会社が分断化されることも想像できます。また、家業を継いでいる子どもが一人しかいなくても、相続などの問題があり後継者や親族などと後継者への指名の仕方などを充分に話し合いが行わないでいる場合です。

後継者へ事業を丸投げ状態にしている。

 後継者に引継ぎの準備を何もせずに後継者に任せっきりにしているケースです。「事業規模がそれほど、大きくないから何とかなるであろう」「自分自身が何とかなったし、後継者は優秀だから何とかなでだろう」「事業承継で何をやったらいいのか分からないので後継者に任せよう」などの理由で現経営者が事業承継の準備をせずに後継者にバトンタッチをしてしまい、後継者が何をやったらよいのかわからない、取引先からの信頼を失う、従業員が辞めてしまうということがあり、現経営者が築き上げてきた事業基盤を失墜させてしまうことがあります。

事業承継後も後継者以上に影響力を持っている。

 事業承継の準備計画を立て進めて、後継者に肩書・権限・財産を移譲したにもかかわらず、会社に出入りして、元経営者が会社に影響力を持ち続けるケースです。元経営者が会社に出入りすることによって、後継社長のやり方に納得しない従業員が元経営者に相談してみたりすることで、何の権力もない元経営者の顔色を伺う風土が漂い、元経営者と後継者との権力の二重化が生じてしまうのです。また、後継者も元経営者に監視されているような状態が続くと、本来、自分自身がやってみたかったことよりも、元経営者の路線を引継ぎことなになり、後継者が経営者として育たないばかりか、経営革新が進まずに事業が停滞してしまう原因になりかねないのです。

事業承継で目指すべき姿

 失敗事例から学ぶ事業承継を踏まえて、事業承継で目指すべき姿を定義すると
「後継者が安定的に経営を行える土台をつくり、後継者のもとで発展的に事業を永続できる体制にする。」ことです。
ようするに、後継者に経営者として経営し易い環境をつくり、後継者が能力を発揮して、発展的に成長していけようにすることなのです。

 そこで、今回、「親族内事業承継を成功に導くための7つのテーマ」ということで、事業承継で失敗しないための対策をまとめ、連載をさせていただくことになりました。

1.後継者を育成する
2.資産を整理する
3.相続について考える
4.業務を再構築する
5.業務ノウハウを引き継ぐ
6.組織を改革する
7.優秀の美を飾る

※タイトルは予定です。変更させて頂く可能性があります。

最後に

 事業承継のことは、事業承継の専門家である「事業承継士」に相談してください。
まずは、お気軽にご相談・お問い合わせをしてください。